そらになるこころ

緊縛師 青山夏樹のSMや緊縛に関する思いを綴るブログ。内容重めです。

2019-01-01から1年間の記事一覧

縄を伝う悲しみ。

‪ 相手の苦しみが縄を伝って自分の中に流れて来て辛くなる事がある。‬‪縛りながら涙が止まらなくなる。‬ ‪今まで辛かったね、悔しかったね、怖かったね、寂しかったね。‬ ‪大人の姿をした相手の中に膝を抱えて泣いている小さな子供が見える。‬ ‪その姿を見つ…

最後に捧げた駿河問い。

ツイートで嫌と言う程書いてきましたが改めて私がショーを1から修行した場所、六本木ミストレスの本当の最後の夜について書きたいと思います。 (駿河問い) 私が六本木ミストレスに入ったのは2001年の12月でした。いくつも恋をして沢山仕事をして夢を掴んでき…

私の醜い手。

朝起きて手を撮ってみました。 難易度の高い吊りをやると数日は指が腫れます。 私の指は縄ダコというか、縄で指が変形しています。特に右手は人差し指は太く、縄を乗せる関節の部分が骨も大きくなっています。 縄が通る部分の節が不格好に発達して縄の負担が…

ショーで魅せる夢、繋がる希望。

ショーやビデオは私が舞台の上や画面の中でプレイをしているのを大勢の方が観ます。 一方向に発信する行為のようですが 心を込めたプレイをする事で受け取る側の方と思いが繋がる事があります。 それは感情移入するシンクロ(同調)だったり、放った音が跳ね返…

はじめての奴隷。

21歳の時厳しい家が嫌で、身一つで家出してSMクラブに入りました。 (イラストは以前にSardaxが描いてくれてものの1枚。http://www.sardax.com ) そのお店は6畳ぐらいの応接セットが置かれたカウンセリングをするスペースと、30畳の豪華なプレイルームのある…

制限しない生き方を

今まで、トラブルや傷を避けようと 自分で自分を制限する事が多くありました。 仕事でもプライベートでも。 勇気を出して踏み出す1歩に 新しいヴィジョンが拡がって行くのを感じます。 仕事も競技へのチャレンジも。 全ては自分を表すもの。 自然に解放して…

捨てられないTバック

もう随分昔のこと。 月に1度メールを送ってくれるMが居ました。 私のサイトの日記を読んだ感想など、 丁寧な言葉を送ってくれる高齢のMでした。 私が緊縛師の修行中、お小遣いをつかって 縛りの古い文献を蒐集していた頃は 国会図書館から大量の資料を集め…

時代に合ったSMの在り方、携わり方

今まで、歳をとって自分を商品にする事が 心地よく感じられなくなったり 縛りだけでSMの表現を極めてみたいと思ったり この10年、元々の女王様の部分を基本的には 封印してきました。 出来れば中性的な存在になりたいなと。 今年の3月に新しい目標というか、…

SMで食っていくということは、抜くということ。

ここ数年、プレイの経験はないけどSMに興味を持ったという若い方から「SMで生きていきたい」と相談を受ける機会が増えました。 そんな時、いつもちょっと考えてしまいます。 何も考えずまず「SMクラブで働いてみたら」とは言えなくて。 (写真は2000年頃所属…

愛の形

愛してた。 2人の間で愛し合う気持ちがわかっていたら 他人が納得するような形なんてどうでもいい。 恋人、夫婦、友人、家族、SかMか、男か女か 愛の形にラベリングなんて必要ないって思う。 愛していない人に愛してるなんて言えない。 だから、愛しい人は …

Mと奴隷の違い(過去のコラム)

過去のコラムを見ると若かった分 今と少し考えが違うと言うか固く考えすぎて寛容さが足りなかったようにも思いますが根っこの考えは今とそう変わらないようです。 ■Mと奴隷の違い (2006/05/07) 「M」と「奴隷」の違いは「プレイ」と「調教」の違いに繋がっ…

禁止することと許可する動機について過去のコラムから

■禁止と許可の動機 (2007/04/15)主従のロールの中でよくあることに、「躾ける」ということがあります。 自分のM、もしくは自分の奴隷を教育していくことが主人と奴隷の信頼関係を築いたり、互いの絆を撚っていく過程にもなります。 いたずらにする「禁止」…

生きたSMに触れる

昔のSMクラブには女王様とMの教育機能がありました。 (写真は2004年頃のプレイルームでの1枚) お客さんであるMと、先輩女王様のプレイを新人女王様が見学に入りプレイの現場で生きたSMを学びました。お勉強的な「知識」や「作業の手順」を覚える講習とは違う…

ヘテロかレズか、SかMかなんて所詮誰かのカテゴライズ。

先日書店で欲しい本が見つからず、近いカテゴリーの本棚を何周もしながら探していました。 そこに「ナタンと呼んで」と書かれたイラストが表紙の本に目が留まりました。副題は「少女の身体で生まれた少年」。 あまりこのジャンルの本を読むのは得意ではない…

教室の生徒さんの目から見た流儀の感想

安全な縛りをする為の縛りの基礎を教える「結びの教室」をやっているのですが (現在お休みしてます)そこにずっと通ってくれていた生徒さんである方の感想が届きました。 長いこと苦労している様子を見せてしまっていたので、彼女からの言葉は胸が熱くなり…

最後にやりたいことは未来への種まき

熱い気持ちを抱えてSMを求め「女王様」という職業を選択した女性たちが夢を見いだせず、私が随分昔に撮った作品や日記などに綴った言葉を何年も心の拠り所にしてくれていたことを知り目が覚めるような思いがした。 2月に行った上海や海外の新しい女王様たち…

流儀までのこと、流儀のこと。

随分前から、次の世代にバトンを渡したいと思いながら 活動してきた。 自分が救われたこの大好きなSMという世界に、何かできる事はないだろうかと。 緊縛事故の問題や緊縛については、 お金を掛けて環境を整えたものの 同業者で一緒に研究しましょう、改善し…

撮影後の思い

先ほどの投稿と重複する部分がありますが 撮影後のメモそのままに載せてみます。 当初の予定では秋田さんとは撮影日が別 ということもあり 初めてお会いするのに 既に聴きなれた声を聞きながら 秋田さんの体を拘束する瞬間が 来るなんて想像もしていませんで…

リビングデッドの撮影

自分の中で大きな一区切りがついて、やっと頭をリセットできたので 書こうとしてためらっていたことを書きます。 去年の8月か9月のことです。 一通のメールが届きました。 ある制作会社からのお仕事の依頼のメールでした。MV制作にあたって、私に縛るシー…

愛という花

「私、本当は悪い子なんです。」 初めて会った日に聞いたこの言葉が 何年経ってもずっと頭に残っている。 良い子でいる自分が嫌いだけど良い子でいたい。 良い子でいようとする自分に 息苦しさを感じているのが伝わった。 さてどうしよう。 どうやってこの子…

女として、自分の人生を生きる

ここ5年ぐらいでしょうか、私のショーは女性に観てもらいたいと公言しています。 今日はその理由を少し暑苦しい文章で説明し、今回の3月24日のショーに向けての想いに繋げてみたいと思います。 まず、女性として生きることについての経験や考えを書きます。 …

事の顛末

この業界では昔からあることなのでわざわざ事のいきさつを 外部の人の目に触れる場所に書くことは止めておこうと思っていましたが 妙なメールをよこしたり、煩わしいことを目にしない為にも1度ことの顛末を書くことにしました。 SMクラブ「ピンクスナイパー…

実体のない死骸

「いや。あれは神じゃない。 蜘蛛の巣にかかった蝶とそっくりだ。 始めはその蝶はたしかに蝶にちがいなかった。 だが翌日、それは外見だけは蝶の羽根と胴を持ちながら、実体を失った死骸になっていく。 我々の神もこの日本では蜘蛛の巣にひっかかった蝶とそ…

PASSION

9/17 DX歌舞伎町で行ったイベント、PASSIONについて。 (はじめに)文章をきちんと考えようと思うとつい時間を掛けてしまい結果的に書かないまま終わってしまう事が多いので今回は殴り書きのように、忘備録として思ったことを書こうと思います。汚い文章…

パートナー(2016 4/16 )

彼女は間違いなく私の最高のパートナーでした。 彼女がまだSMを始めたばかりの頃に出会い、約10年大人になって行く姿を見て来ました。 求めたり離れたりを繰り返しながら。 私の大切な時、いつも私を信じて支えてくれました。 でも、SMはいつまでもそこに居…

エロスとタナトス

沈み、溺れ、引き上げられる。 生きる事に重なる。

現代緊縛入門の感想②

「現代緊縛入門」の感想を頂きました。 SM経験のない方の感想は、日本が培ってきた一つの文化としての緊縛を考える、この本の方向性を 表すものでもあると思い、ブログで紹介させて頂くことにしました。 部分的に抜粋していますが、内容についても知って頂け…

消えていく縄

全体の構図を考えて縛りを仕上げていくのはプロとして当然のことだろう。 ではいつも何を目指して縛りを考えているか。 私はいつも、縛りによって引き出される相手の湧き上がるような美しさを見る為に縄を掛けている。人をデザインの一部にするならば、何も…

縛りは誰のもの(2016 3/10)

いつのころからか(14,5年前くらいか)好事家の秘め事だった緊縛の世界が、いつの間にか当事者以外の目を意識したものになってきているように思う。 勿論、私も縛りを商品にすることを生業としている人間だ。 もし弟子入りし修業していなければ、人に縛…

現代緊縛入門の感想①

現代緊縛入門を読んでくださった方から、丁寧な感想が届きました。 本の内容も感じられる言葉でしたので、まだ読まれていない方のためにご紹介させて頂きたいと思います。(一部抜粋) 「早速拝読させていただきましたが、 歴史についても実践についても、初…