そらになるこころ

緊縛師 青山夏樹のSMや緊縛に関する思いを綴るブログ。内容重めです。

女として、自分の人生を生きる

 

 

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ここ5年ぐらいでしょうか、私のショーは女性に観てもらいたいと公言しています。

今日はその理由を少し暑苦しい文章で説明し、今回の3月24日のショーに向けての想いに繋げてみたいと思います。

 


まず、女性として生きることについての経験や考えを書きます。

 


緊縛師、AV監督として(もともとはSM作品を撮っていてそれが売れているからと一般のAV作品も撮るようになりました)男社会の中で仕事をするようになってから15年経とうとしています。

最近は時代が女性の人権について敏感なぐらい反応し主張する人も増え変化して来たようです。

 


しかし私が仕事をして来た時代を通して、緊縛師であれAV監督であれ、女というだけで紹介の頭に女と言う言葉をつけられることがほとんどでした。

男性と同じ内容の仕事をしていても、より良い仕事をしていても舐められ、軽んじられ悔しい思いをして来ました。前職が「女王様」業だったということもあるのでしょうか、仕事をもらう前には意味のないいやらしい会話で自分がいかにいやらしい人間かを説明しなければならなかったり、一緒に酒を飲んだり、プレイを要求されることも多々ありました。

悔しいけれど、自己実現の為だと言い聞かせて作り笑いをして仕事をもらわなければいけない時期もありました。

しかし今思うと、その悔しさが自分の身を正し男性よりも、しっかりとした良い仕事をしていこうと自分を奮い立たせてくれたのかもしれません。

 


花の命は短くて苦しきことのみ多かりき

と言う言葉は有名ですが、性を売る世界は女性の若さと美しさに高い値がつき、歳を重ねるにつれ商品価値が下がっていき仕事も減っていくのが残酷な現実です。

 


性的ファンタジーを商品として提供する側は、次々に新しい花を代わり映えのしない花瓶に入れ替えていきます。

しかし、SMは人の心の奥底に隠れた精神的要素の強い性的嗜好です。花瓶の花の挿げ替えでは本当の愛好家は脳から痺れるような興奮を得たり満足することは出来ません。

SMはセックスや裸の表現が無くても、視線の上げ下げ、手の位置、眉の動きだけでも性的興奮は呼び起こされ昂まっていくのです。

同じ女性が若さの盛りから年齢を重ねていく中でSMによって変化する様が観れるなら、愛好家は長い年月喜び応援してくれることでしょう。

商業主義の中で、次々と新しい花、新しい刺激、目新しいものを提供して数字をあげていくことは理解できます。ただ、それと共にSMの本質が薄れて行く事には危惧する思いばかりです。

性的な欲望の、特別に秘めた部分であったSMは湿度の高い秘密であるからこそ本当の魅力が花開くのだと思います。

 


話はそれましたが、私自身女であり「女王様」業と言う自分を商品として対価を得る世界で長年仕事をして来た身で、また2人の娘を持つ親でもあります。

そして、若い頃もてはやされ、歳をとって商品価値が下がり自尊心が踏みにじられる様子も多くみて来ました。

 


ですから女性の生き方、尊厳について度々考えます。

 


今は自分を商品にする立場ではなく、技術を売る立場としてアダルト業界にいますが

同時に女として、自分の旬を商品にする女性たちを守ることを自分の中の使命だと考えて仕事をしています。

人生の中の、ある期間自分の心や体をお金に変えて生きる選択をしたとして、その後の人生の長い長い時間の中で一時の選択が原因で心や体に生き辛くさせる傷を残さぬよう、ユーザーにファンタジーを提供する制作者側と商品である女性の間に立つ緩衝材として女性を守り、安全な中で最大のパフォーマンスが出来るよう心を込めて仕事をしています。

 


私とショーに出演して、自分を変えたい、自分を見つけたいと私の所に来てくれる女の子たちには特に「SM/緊縛」という極限の世界で自分をすり減らし少ないお金や虚栄心の為に自分を傷つけるのではなく、心を開く勇気と限界を超えた先で出会う、彼女たちの中にある本当の強さを発見し共に喜びたいと思います。それが明日を生きる力、苦しい日常で前に向かって歩みを進める勇気になります。

そんな瞬間を迎えることで、苦しみを希望に昇華させて欲しいと祈りながら縄で縛り彼女たちの心と向き合います。

 

 

 

私のライフワークである舞台表現に於いてはすげ替えのきく、消耗品の性を買う人へ彼女たちの裸を商品にする気はありません。

性器の露出もなければ性的快楽を引き出す為のプレイもありません。

 

筋書きも、縛り手の望む流れという予定調和もありません。

彼女たちを一瞬の驚きのために残酷に痛めつけ見世物にする気もありません。

 

 

そこには心と心の真摯な対話だけがあります。

 

 

同じ1人の人間として、女として、時に母として彼女たちの弱さや苦しさを抱きしめ、ボロボロになっても私を見つめ、自分の意志で立ち上がろうとする気高い美しさを観て頂きたいと思います。

 

 


弱々しく儚げに見える女性がひた向きに自分の弱さに対峙し希望に向かう姿、その力強さと美を共に体感して頂けたらと思います。

 

 

 

2019 1月26日

 

青山夏樹                                                        

 


◾️Live information

2019年 3/24(日)開場12:00 開演13:00 終演16:00

DX歌舞伎町SM LIVEファイナル

特別公演 青山夏樹緊縛LIVE SHOW

「流儀-start from the END-」

出演:

青山夏樹、蕾、駆、恵美子、涼風ゆり

スペシャルゲスト:HeavensDust

 


数量限定前売り券:

男性7000円女性5000円

 


当日:男性8000円女性6000円

 

カップル12000円

 


場所:DX歌舞伎町

          東京都新宿区歌舞伎町2ー25ー10 セゾンビルB1

         03ー3232ー9946

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