そらになるこころ

緊縛師 青山夏樹のSMや緊縛に関する思いを綴るブログ。内容重めです。

緊縛師の仕事について。

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昨日ふと考えた。

この仕事を覚えて受け継いでくれる人は

この先出来るのかと。

 

緊縛師と言う仕事は元々アダルトメディアでSM的な表現をする裏方の仕事で華やかな場所に出ることの無い技術職。

その仕事を引き継ぐには、仕事内容を全て知ってもらわなくてはならない。

この地味で責任の重い仕事を引き継ぐ人が現れるのか、そこまで修行を続けてくれる人が居るのか改めて不安になった。

 

そこで、緊縛師として私がやっている仕事を

1日の流れで書いてみようと思う。

 

①朝9時スタジオ入り

 

台本をもらい、準備するスペースを確保&内容を確認

 

監督とその作品でやりたい方向性と女優さんの個性適性を踏まえて縛りのプランを打ち合わせる。

 

体の弱い子、次の撮影の日程的に痕がつけられない、以前の撮影で恐怖心があるなど注意深く確認。

 

②パッケージ撮影

 

プロデューサーのリクエストをヒアリングしながら

スチールカメラマンと縛りのプランを決める。

吊りがあれば女の子のメイクと照明のセッティング中に吊り床を作成。

 

動画の縛りとは違う静止画用の縛りの仕上げ。

 

撮影中は女の子の近くで待機して

モニターを確認しながらポーズの変化による見え方や女の子の体調の変化をチェック。

 

解き。

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③香盤表を確認して次のシーンのプレイ内容に沿った縛りのプランを監督と打ち合わせ

 

場のセッティングと女の子のメイクが上がると同時に縛り始め。

監督と演者のプレイについての申し合わせをしながら縛る事も多い。手早く確実に縛る。

 

プレイ中、モニターの近くでモニターの中の縛りと

肉眼で縛りの見え方、女の子の小さなコンディションの変化も注意深くチェックする。

シーンが長い時はカットがかかると女の子の体力が持つようにケア。

 

カットと同時に救出(解き)

 

体調に関するアドバイス

 

 

大体1日に5シーンぐらいあるので③をひたすら繰り返す。

 

吊り床の設置、プレイの場所、ポジション、展開などの安全監修はとても大切な仕事。

 

様々な危険や予想されるダメージを経験を元にシュミレーションしながら監督に提案。

監督の作りたい画と女の子の肉体的な限界を擦り合わせて形にしていく。

 

プレイの途中で縄が緩んで縛りがブラブラになれば

ユーザーさんはシラケるし、女の子は危険になり、撮影は押してしまう。

どんなに激しく動いても、男優が掴んでも緩まない縛りを確実にすることが最も大切。

 

安全監修に加えて、縛り待ちで現場が押す事がないよう早い仕上げをしている。

 

例えば1日2、3万で呼べる縛り手が居たとして

縛りの時間、トラブルの対処でスタジオ延長料が発生する金額よりも、3、4万高くても私を呼んでもらう価値は必ずある。

そう言いきれるぐらい自分の仕事に責任を持ってやっている。

 

信頼して下さる監督には全力で応える。

 

 

私が行く現場は夜中までかかる事はないものの

朝早く始まって終わるのは早くても12時間後。

その間、ずっと準備と縛り解き。

 

AV業界は厳しい縦社会、マナーが大切でどうかすればプロダクションとの揉め事にもなることもある。

 

現場の進行の仕組み、撮影用語も覚えて行く

 

覚えるべきこと、仕事が多く精神的にも肉体的にもハード、何か起きれば恐ろしい責任がのしかかって来るプレッシャー、全てを踏まえてこの仕事を覚えてやって行きたい人はいるのだろうか。

 

私はどうして、こんなキツい仕事が好きなのか考えた。

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男だらけの現場で過酷な撮影に挑む女の子は不安でいっぱい。

プレイで傷つけば「初緊縛」で緊縛はNGになる。

彼女たちの人生に傷が残る。

良い作品にして彼女たちの勇気を後押ししたい。

ビデオユーザーさんに現実には出来ないプレイを疑似体験出来るファンタジーを提供したい。

 

子供の頃、映画監督になりたかった自分の中の「映像作品作りが好き」という部分があるからかもしれない。

 

だから手弁当の下積み時代も楽しかった。

朝まで撮影でも、また撮影したいって思えた。

 

早く結果を求める人が多い時代に

こんなしんどい事を乗り越えて、仕事全部を引き継いでくれる人は残るんだろうか。

 

私のしてきた「緊縛師」と言う仕事はどれだけのものを次の時代に残せるのだろうかと

歳のせいかぼんやりと考えた。

Photo: AKIKO